これからの季節はマダニに注意が必要です!!

 マダニは、家庭内で食品等に発生するコナダニや、衣類や寝具に発生するヒョウヒダニなどのダニとは全く種類が違い、主に森林・草地だけに限らず、さらに市街地周辺等の屋外にも生息しています。また、マダニは、固い外皮(がいひ)に覆(おお)われ比較的大型(3~4㎜)で、吸血すると1㎝もの大きさになります。

 日本全国には、47種類のマダニが生息していると言われていますが、そのうち数種類のマダニ(主にフタトゲチマダニ、タカサゴキララマダニ)に咬(か)まれると、6日~2週間後に発熱、食欲低下、嘔気(おうき)、嘔吐(おうと)、下痢(げり)、腹痛などの症状が主に最初に起こり、さらに、頭痛、筋肉痛、意識障害や失語(言葉を話したり理解できなくなる)、リンパ節の腫(は)れ、皮下出血や下血など様々な症状を引き起こします。

現在、治療は有効な薬剤やワクチンなどがなく対症的に行うしかないため、マダニに咬まれ重症化してしまうと死に至ることさえあります(致死率:10~30%)。これが、重症(じゅうしょう)熱性(ねつせい)血小板(けっしょうばん)減少(げんしょう)症候群(しょうこうぐん)(SFTS)と言われるダニを介した新たなウイルス感染症(SFTSウイルスによる)です。

 2012年の秋に山口県で亡くなられた女性が、翌年1月になりSFTSであったことが日本で初めてわかり、海外渡航歴がなかったことから日本国内で感染したものと推測されています。

 2013年春以降、西日本を中心に40人がSFTSと診断されており(近畿圏で兵庫県のみ)、うち11人もの人が亡くなられています。また、全国的な野生動物(シカ)のSFTSウイルスとの反応を調べたところ(抗体検査)、患者が報告されていない自治体(近畿圏では、三重県、滋賀県、京都府、和歌山県)でも見つかっていることから、野生動物の取り扱いには厳重な注意が必要です。

 春から秋に向けて、これからマダニの活動が活発になる季節です。マダニが生息する草むらや藪(やぶ)などに入る時は、肌を露出させないように、長袖の服・長ズボン・足を完全に覆う靴などを必ず着用し、マダニに咬まれないように十分に注意しなければなりません。