カンピロバクターという細菌によって引き起こされるカンピロバクター食中毒は、近年発生件数の最も多い食中毒であり、患者数でもノロウイルスに続いて2番目に多くなっています。
カンピロバクターは、ニワトリやウシ、ブタ等家畜の腸管内に普通に存在しています。この細菌が付着した肉を生や加熱不十分で食べると感染し、菌量は少量でも感染が成立します。潜伏(せんぷく)期間は2~5日とやや長く、症状は下痢(げり)、腹痛、発熱、悪心(おしん)、嘔吐(おうと)、血便、頭痛などがあります。死亡例や重篤例(じゅうとくれい)はまれですが、こどもや高齢者で抵抗力の弱い人では重症化することもあります。また、まれですが、カンピロバクターに感染した数週間後に手足の脱力や顔面神経麻痺(まひ)、重症例では呼吸障害や死亡例もあるギラン・バレー症候群を発症することがあります。
そこで予防が大切になってきます。カンピロバクターを生きた状態で摂食しないことと、家族またはその他の人への感染を防ぐことがポイントです。
①生肉(トリ刺しや生レバー等)を食べない。カンピロバクターが付着しているかどうかが問題であって新鮮なら安全というわけではありません。
②十分に火を通す。特に鶏肉は付着率が高く注意が必要です。
③肉と他の食品との接触を防ぐ
④肉を触った後はすぐに手を洗う
⑤まな板や包丁などは熱湯消毒と乾燥を行う、等です。