デング熱 ―心配しすぎないように―

 今年8月、国内でデング熱に感染した患者が報告され注目されています。海外(主に熱帯)で毎年300人程度の日本人が感染し、国内で発症している病気です。デングウイルスが蚊(か)を介してのみ感染し、人から人へは感染しません。発症した患者の血を吸ったヒトスジシマカ(熱帯では熱帯シマカ)に刺(さ)されることで感染します。日本では蚊の活動は長くて10月までなので、以後国内では感染しなくなります。

 デング熱は蚊に刺されてから2~15日(通常3~7日)で突然38度から40度の高熱で発症し、頭痛、目の痛み、筋肉痛、関節痛等の症状がみられます。蚊が活動している時期にこのような症状があれば、海外渡航歴が無くても、デング熱の可能性があるため、早めに医療機関を受診してください。

 さらに発症後、3~4日後より胸部・体幹から始まる発疹(ほっしん)が出現し、四肢(しし)・顔面へ広がることがあります。この発疹は風疹(ふうしん)と同じような小さな発赤(ほっせき)で、痒みや痛みはありません。熱が下がったあとにうすいあざが、手足や脇の下にでることもあります。これらの症状は1週間程度で回復します。

 デングウイルスに対する治療法はなく、症状に応じた治療が行われます。ワクチンや予防する薬は現在ありませんが、デング熱は感染しても重症化することはまれです。

 蚊が多くいる場所で活動する場合は、できるだけ肌を露出(ろしゅつ)せず、虫よけ剤を使用するなど、蚊にさされないよう注意してください。それが唯一の予防法です。