ジカウイルス感染症(ジカ熱)

 ジカウイルス感染症(ジカ熱)は、流行地でジカウイルスを媒介(ばいかい)する蚊に刺されて感染しますが、昨年から今年にかけて中央および南アメリカ大陸やカリブ海地域を中心に流行地が急速に拡大しています。特に今年は、8月からブラジルのリオデジャネイロオリンピックが開催されるため、多くの日本人が訪れると予想され、ジカ熱に対する感染予防や対策が大切になっています。

 ジカ熱の潜伏期は2~12日(多くは2~7日)で、症状は発熱、倦怠感(けんたいかん)、頭痛、関節痛、筋肉痛、結膜炎、球状皮疹(きゅうじょうひしん)などで、大半が入院せずに治る熱性疾患ですが、時には運動神経が障害されて、手足の力が入らなくなる運動障害や神経症状を認めることがあります。

 また、妊婦がジカウイルスに感染すると胎児(たいじ)が感染し、小頭症(しょうとうしょう)などの障害を持った子どもの原因になることが解明されました。ブラジルでは約5ヵ月間に約6500人の小頭症の疑いが報告され、先天性ジカウイルス感染症として大きな社会問題となっています。そのため、厚生労働省は、妊婦および妊娠の可能性がある方は、可能な限り流行地への渡航は控えてくださいと勧告しています。

 さらに心配なのは、感染者の約8割が症状のない不顕性(ふけんせい)感染症で占められるため、オリンピックを契機にブラジルなどの流行地に渡航し、感染しているのに症状がないため検疫をすり抜けて我が国に入り込むことです。

 このほか、ジカ熱は性行為により感染することが報告されています。流行地から帰国した男女は、ジカ熱の発症に関わらず、厚生労働省のホームページを参考に対策をとってください。

 そして、流行地から帰国された方は、少なくとも2週間は蚊にさされないように注意してください。