糖尿病が激増しています。糖尿病患者数は、この50年間で50倍以上に増えています。糖尿病患者さんの多くは、血糖が上がった結果起こる合併症で命を失ったり、不自由な生活を余儀なくされたりしています。特に、透析患者さんの約45%が糖尿病による腎障害(糖尿病性腎症)が原因で腎不全になったとされています。糖尿病が重症化しないように自分自身で気を付けることはないでしょうか?
まず、糖尿病を早期に発見することが重要です。糖尿病は症状に乏しい病気です。このため、糖尿病の早期発見には定期的な健診受診が重要です。「私は、何も症状がないから大丈夫」と思っていませんか? 症状がなくても健診を毎年受け、糖尿病を早期発見することが重要です。
もし糖尿病と診断されたらどうしたらよいでしょうか? 糖尿病は「早期治療」が重要な病気です。最近は、糖尿病の治療薬がずいぶん進歩し、副作用なく治療できる場合が多くなってきました。良好な血糖コントロールは糖尿病合併症を予防します。糖尿病が疑われたら、できるだけ早くかかりつけ医を受診して適切な治療を受け、糖尿病の重症化を予防してください。 同時に定期的に眼科も受診し、眼の合併症(糖尿病網膜症)にも気をつけましょう。
最後に、糖尿病を長く患っていると腎臓障害などの合併症が発病することがあります。この場合も「早期発見・早期治療」が重要です。糖尿病性腎症では早期に微量なタンパクが尿に漏れ出します。これを「微量アルブミン尿」と言います。このような軽い腎臓障害の段階で合併症が発見されると、腎臓障害の悪化を防ぐことができます。糖尿病を患っておられるみなさんは、年に1回は尿検査(微量アルブミン尿検査)を受けて糖尿病合併症を予防していただきたいと思います。