C型肝炎治療の進歩

 C型肝炎は自覚症状がないまま進行し、やがては肝(かん)硬変(こうへん)、肝がんを発症することが多い病気です。これを防ぐには感染の早期発見とウイルスを除去する治療が重要です。2015年7月に承認された新薬の登場により、患者さんの負担を抑えつつ完治を目指せるようになってきました。

 1992年、インターフェロンの注射治療が始まりましたが、ウイルスには複数の型があり、日本人患者の7割を占める1b型にはインターフェロンは効きにくく、2004年に、より副作用が少ないペグインターフェロンと飲み薬リバビリンの併用療法が登場しましたが、1b型での効果は約5割程度にとどまっていました。

 2015年7月に承認された「ハーボニー」により状況が一変しました。これは同年5月に2a、2b型の治療薬として発売されたソホスブビルに、レジパスビルという成分を加えたもので、1b型にも非常に高い効果を示す薬剤と言われています。初めて治療する患者だけでなく、他治療で効果がなかった人を含めても95%以上の人でウイルスが除去されます。1日1回、1錠を12週間飲むだけでよく、長期入院の負担や薬の副作用もほとんどなしにウイルスを消失させることができます。

 現代でも、若い世代でピアス、入れ墨、覚せい剤の回し打ちなどによるC型肝炎感染が散見されます。

 一般的に入院、手術の際にはウイルスの有無を調べますが、こうした経験のない人は、かかりつけ医、地域の保健所、保健センターなどに相談ください。