睡眠時無呼吸症候群

 列車運転士の居眠り運転をきっかけに広く知られるようになったこの病気は、わが国で200万~300万人あるいはそれ以上と言われています。

 典型的にはこのような方です。

 肥満気味の50歳男性、会社の健診で高血圧といわれていますが病院には通っていません。同僚との旅行では「君の大きないびきで眠れなかったよ」と苦情を言われ、妻からは「寝ているときに息が止まっている」と心配されています。一晩に3回も排尿でトイレに行きますが、すぐにまた眠れるので気にしていません。

 この病気では仰向きに寝ている時に、舌の奥が重みで下がりのどの奥で空気の流れをふさいでしまいます。呼吸の空気の流れが10秒以上止まることを無呼吸発作といいますが、これを一晩に何十回も繰り返します。

 そのため睡眠中に血圧が上昇し、眠りが浅く、昼間の眠気やだるさ、居眠り運転につながり、また高血圧症、不整脈、心筋梗塞などの原因にもなります。高血圧症で薬を服用しても血圧が下がりにくい方は、この病気が隠れているかも知れません。

 適切な治療を行うと「熟睡できて夜間トイレも行かなくなった」「昼の疲れがなくなり仕事がはかどるようになった」「血圧が下がった」と喜ばれます。最もよく行われている治療は持続的陽圧呼吸療法といい、睡眠中小さな器械から鼻に密着させたマスクを通して空気を送る、自宅でできる簡便な治療法です。

思い当たる方は、ぜひ一度、医療機関でご相談ください。