近年の調査では20~44歳の日本人の約10%が気管支喘息と診断された経験があり、その半数の約5%が喘息として現在治療中と報告しています。また成人喘息のうち70~80%は小児喘息の経験のない方で発症しています。
気管支喘息の主症状は発作性の咳、喘鳴(呼吸の際にぜいぜいいうこと)、そして息苦しさです。症状は夜間から明け方に出やすく夜間救急外来を受診される方も少なくありません。一方、喘鳴がなく咳だけが数週間~数ヶ月続くタイプがあり「せきぜんそく」と称されます。アレルギー性の気管支の炎症という点や治療法において、通常の気管支喘息と同じです。
治療には発作時の治療と発作予防のための治療(維持療法)があり、 この維持療法が大切です。最も優れているのが吸入ステロイド薬で、十分な量・期間を使うことで、気管支の炎症をコントロールします。他に長時間作動型の気管支拡張薬(吸入ステロイド薬との配合剤があります)、抗ロイコトリエン薬などを症状に応じて併用します。
喘息発作時の治療でいったん良くなると発作予防の維持療法を怠ってしまう方があります。しかし喘息は死亡することのある疾患で、我が国でも年間約1500人が亡くなられています。ふだんの維持療法はしっかり行いましょう。禁煙が重要なのは言うまでもありません。気管支喘息はきちんと治療すれば、大多数の方が普通の生活をエンジョイできる事をぜひ知っていてください。