鼠径ヘルニア

 鼠径ヘルニアは、足の付け根あたりに突然しこりができることで違和感や痛みを伴う病気です。幼少期と中年期以降と、発症年齢が大きく二つに分かれます。幼少時に発見されるものは生まれつきの原因でできるものですが、成人に発症するものはお腹を覆っている筋肉が衰えることや、腹圧がかかることで、筋肉の間に隙間ができることから発症します。

 足の付け根あたりに突出するしこりの正体は、元々お腹の中にあるべき脂肪を含んだ腹膜で、腹圧が強くかかった時に狭い隙間を通って皮膚の下に脱出してくるものです。時には腸が一緒に脱出することがあり、狭い隙間から元に戻れずに、締め付けられると激しい痛みが生じ腸閉塞となり、命にかかわる危険な状態になることもありますので、早めに治療をすることが勧められます。

 残念ながら自然治癒することは難しく、また薬で治せるものでもありませんので、治療にあたっては、手術を選択することになります。一般的には数日から1週間の入院となります。

 頻繁にしこりが突出してくること自体も生活上の妨げになりますので、気になる症状のある方は医療機関へご相談ください。