胆嚢のアデノミオマトーシス(胆嚢腺筋腫症)

 腹痛をきたす病気の中でポピュラーなものの一つは胆石症です。この胆石症に似て非なる「良性」の疾患、それが胆嚢のアデノミオマトーシスです。日本語では胆嚢腺筋腫症と言います。この「腺」と「筋」の成分からなる小さな袋が増えて、胆嚢の壁が部分的に、あるいは全体に分厚くなり、その部分が、異常なタイミングで収縮するために痛みが出ます。胆嚢の異常運動(シスキネシ)の一種といえます。

 

・胆嚢の壁が厚くなってはいるが胆嚢癌とは違う。

・胆嚢の壁に小さな胆石が見つかったり、胆嚢に胆石が溜まっていたりもするが、痛みの原因とは思えない。

・熱を伴うことは滅多にないが、痛みはまるで胆石症の発作のように突然で、時には脂汗や嘔吐を伴う。

 ・痛み止めなどで痛みが止まると、今までの症状が嘘のようにけろっとしている。

・男性にも見られるが、比較的若く健康そうな女性に多い。

 

 そういう特徴があります。

 診断がついて、胆嚢を取り除けば完治します。とはいうものの、超音波検査などで胆石が見つからず、「不安神経症」などと誤って診断され、その症状に長く苦しまれた方も少なくありません。従来、特に若い女性の場合、診断が不確かな状態で開腹手術を勧めることが躊躇されましたが、今は腹腔鏡下胆嚢摘出術で負担の少ない手術が出来る時代です。この疾患の診断に慣れた消化器系の内科医や外科医に的確な診断を受けるのが第一です。