血圧は、ストレスや喫煙、日常の行動や環境など、様々な影響を受けて大きく変動します。しかし、健常人の場合、その変動はほぼ一定の範囲内にあり、安静時では最大血圧は100〜140、最小血圧は60〜90mmHgとされ、たとえ一時的に大きく変化しても、短時間で回復する機能が備わっているのです。
一方、高血圧の人では安静時の血圧が高いのはもちろんですが、様々な条件で血圧はより大きく変動し、回復にも時間がかかる事が多くなります。そして、この変動が大きい人ほど脳卒中や心筋梗塞等の発病リスクが高く、死亡率も高い事がわかってきました。
寒い時期に特に注意が必要なのは、ヒートショックと言われる温度変化による血圧の乱高下です。 比較的暖かい部屋から、温度の低いトイレや脱衣室などに移動するだけでも大きく血圧は上昇しますが、そこでの咳やクシャミ、排尿排便、高温のお湯に急に入ったりすると危険なレベルにまで上昇するのです。毎年一万人以上もの方が、ヒートショックが原因で死亡していると報告され、特に冬場に集中しています。
高血圧等の生活習慣病の指摘を受けている方や高齢者では十分な注意が必要です。トイレや浴室の暖房、浴槽のお湯の温度をあまり高く設定しない等、日常生活での温度変化を最小限に留める工夫(ヒートバリアフリー)が必要です。