加齢黄斑変性について

人の目をカメラにたとえると、フィルムにあたる部分が網膜で、その中心が黄斑といわれるところです。この黄斑に何らかの病気が起こると、「物が歪んで見える」「まん中が見えない」などの症状が出てきます。

この黄斑に起こる病気のなかで、今最も注目されているのが加齢黄斑変性です。

欧米では成人の失明原因の第一位を占める病気ですが、近年我が国でも患者さんが増加しています。人口の高齢化と、食生活の偏りや喫煙などに増加の原因があるのではないかと考えられています。

加齢黄斑変性には萎縮(縮むこと)型と滲出型の2つのタイプがあります。

萎縮型は網膜の細胞の萎縮や、網膜のうしろにある脈絡膜の小さな血管の萎縮により起こるタイプです。現在有効な治療法はありませんが、病気の進行は遅いといわれています。

滲出型は黄斑の脈絡膜側から網膜に向かって、新生血管といわれる異常な新しい血管が生えてくるタイプで、この新生血管から出血が起こってきます。滲出型は、治療しないで放置すると症状は悪化するといわれ、4年間の観察で約9割の目が視力0・1以下になったという報告もあります。

滲出型の治療は、レーザー光線で新生血管を焼きつぶしたり、血管の増殖を抑える薬剤を眼内に注入したりします。最近はこれらの治療により、ある程度の効果が得られるようになってきました。

黄斑には加齢黄斑変性に限らず多くの病気が起こりますので、「物が歪んで見える」「まん中が見えない」などの症状があれば、ぜひ眼科を受診し、黄斑に病気がないか診てもらってください。