日本人は風呂好きと言われますが、入浴中に亡くなられる方も少なくはなく、高齢の方、高血圧や心臓病の方などでは、入浴の仕方によって危険なこともあります。実際、我が国の入浴中の死亡事故は年間1万4千人ほどで、これは欧米に比べてもかなりの数です。しかも、その大部分を65歳以上の高齢者が占めています。
入浴事故の原因疾患としては、心疾患、脳血管障害、溺水などがあります。発生の要因として「熱めのお湯が満たされた深い浴槽に肩まで浸かり長湯をする」日本特有の入浴習慣があるようです。
この一見丁寧な入浴法は、熱いお湯に浸かることで極端な温度変化に反応し、急な血圧上昇や心拍数増加を起こします。そして、深い浴槽での入浴は、水圧により四肢末梢から心臓に戻る血液量をいっきに増やし、心臓に負担をかけます。これらが脳卒中や心臓発作の原因になります。また長時間の入浴では、体温を上昇させ大量の発汗を生じて熱中症に陥り、立ちくらみ、失神など、溺水事故の一因となる意識障害を招くことがあります。
入浴中の事故を防ぐために以下のことに留意しましょう。
- 湯温は38~40度で、お湯に浸かる時間は7分以内にする
- 半身浴として、お湯に浸かるのはみぞおちの高さまでに留める
- 脱水を予防するため、入浴前後にコップ1杯程度の水分を補給する
- 食後1時間以内や酩酊下での入浴は控える
- 入浴前に更衣室、浴室を温めておく
入浴は、心身をリラックスできる楽しい時間です。以上のことを心がけて快適で安全な入浴を楽しみましょう。