流行性耳下腺炎は、ムンプスウィルスの感染により起こる病気で、感染者の咳やくしゃみにより飛び散ったウイルスを吸い込むことなどで感染します。潜伏期間は20日前後で、かかりやすいのは2~7歳の子どもですが、この時期に感染しなければ大人でもかかります。
最初に少し熱が出て、そのうち片側または両側の耳たぶの下にある唾液腺、つまり耳下腺が痛みを伴って腫れてきます。初めは片側だけでも、2~3日遅れて反対側も腫れてきます。顎下腺(顎の下にある)や舌下腺も腫れるので、耳の下から顎まで腫れて「お多福」のような顔になるため、おたふくかぜとも言います。
腫れは、年少児では4日程度、年齢が上がるにつれ長引き7日間程度続きます。発熱は腫れが最大になる頃まで続いた後に解熱し、痛みと腫れが引いて治ります。
しかし、腫れのピークが過ぎても発熱が続き、さらに頭痛、嘔吐などが見られたら、髄膜炎の併発が疑われます。また、思春期以降に感染すると、男性は睾丸炎、女性は卵巣炎を併発することがあります。睾丸炎は不妊症に繋がることもあるので、注意しましょう。
ムンプスウィルスに有効な薬はありませんが、自然治癒する疾病です。また、一度感染すると免疫ができ、二度とかかりません。
予防には、ワクチン接種が有効です。任意接種ですが、希望される方はかかりつけ医にご相談ください。