最近、高齢の方で「昔と比べて、最近すっきりと気持ちよく便が出ない」という訴えで来院される方が目立ちます。
高齢者の便秘は「がんやポリープ」といった病気や、「体の水分不足」等によるものは別として、ほとんどが「体の機能の基本的な衰え」が原因です。排便は肛門の上の直腸に便がたまり、直腸が便により拡張し、「便意」が起こり、次に直腸の周囲にある筋肉が「おなかの中の圧力」を高め、直腸内の便を体外にしぼり出す行為です。
だから、便秘の改善には食事内容により便の量を増やすことと、腸の運動を高め、おなかの圧力を高めることが重要と言えます。
便の量を増やすためには、まずは「食物繊維を多く食べる」ことです。
ごぼう、ニンジン、セロリなどの野菜、はと麦、玄米などの穀類、サツマイモなどのイモ類、大豆、小豆等に含まれる「不溶性食物繊維」と海藻類、こんにゃく、りんご、リンゴ等の果実、ココアに含まれる「水溶性食物繊維」が重要です。「乾物」も「食物繊維の宝庫」です。また、腸の中の細菌のバランスを保つためには、ヨーグルトを毎日摂取する事も効果的です。
次に、腸の運動を高めるためには、まずは毎朝起床したら冷たい水やお茶をコップに1~2杯飲用し、胃や腸を刺激します。便秘になれば、便がより固くなるので、特に水分を充分取る事が重要です。
また、胃に食物が入ると、本来は自然に便意が出ますので、必ず食後はトイレで排便してみるのも重要です。もちろん、毎日の散歩や運動も腹部の筋肉の維持に重要です。
活動的な日常が「活動的な排便」をもたらすのです。