虚血性心疾患とは、狭心症と心筋梗塞を総称した疾患名です。
心臓は全身に動脈の血を送るポンプの役目をしています。この働きは、心臓の筋肉(心筋)が収縮したり拡張したりすることによって行われています。この心筋が働くためには、酸素や栄養を含んだ動脈の血が必要です。その心筋に血液を送っている血管を冠状動脈といいます。この冠状動脈のどこかに動脈硬化が起こると、血管の中が狭くなって、心筋へ十分な血液が流れなくなり(虚血)、そのために胸が圧迫されるような、締めつけられるような痛みがみられます。これを狭心症といいます。
狭心症は、坂道や階段を上がったり、急いで歩いたり、力を入れた時など、運動時に起こるものと、安静時の夜間や早朝に起こるものがあります。どちらも一時的なものであり、数分間で血液の流れが回復して元の状態に戻り、胸の症状も消失します。
しかし、冠状動脈の動脈硬化が進行して、血管の中が完全に塞がって血液の流れが途絶えると、そこから先の心筋は正常に働くことができなくなってしまいます。それを心筋梗塞といいます。
心筋梗塞は激しい胸の痛みが続き、致命的な経過となることが多いので、直ちに救急の対応が必要です。
虚血性心疾患の危険因子は、高コレステロール血症、高血圧、喫煙、肥満、糖尿病、高尿酸血症などです。これらを解消するよう、治療と生活改善に心掛けましょう。
とにかく最近、胸が重苦しい、圧迫される、締めつけられるなどの症状を感じたら、心電図の検査が必要ですので、かかりつけ医にご相談ください。