肺には、何億個もの肺胞と呼ばれる小さな袋がブドウの房のようについていて、絶えず空気の出し入れをしています。呼吸で吸い込んだ新鮮な空気から、血液中に酸素を取り込み、体でいらなくなった二酸化炭素と入れ替えるという「ガス交換」が行われています。
肺気腫とは、肺胞が壊れて、ガス交換ができにくくなる病気です。症状は、息切れや呼吸困難で、最初は階段の昇り降りや坂道、入浴中に現れます。咳、痰、むくみ、頭痛がみられることもあります。症状が進むと、口をすぼめてゆっくりと息をするようになります。
肺気腫の原因は不明ですが、患者さんの8割以上が喫煙者です。ほかに、慢性気管支炎や大気汚染があります。肺の老化が始まる40歳代、50歳代の頃から発症してきます。
息切れや呼吸困難の症状は、ほかの呼吸器の病気でも現れるので、肺気腫かどうかを調べるために、胸部のX線検査と肺機能検査を行い、さらにCT検査(コンピュータ断層撮影)を行うこともあります。
肺気腫の予防は、原因と考えられているタバコを吸わないことや、汚染された空気を避けることです。
肺気腫の治療は、気管支を拡げたり、痰を出しやすくする薬を服用します。症状が進むと、抗生物質や「在宅酸素療法」と言って、酸素を吸入する機械を家庭に設置することが必要になる場合もあります。
息苦しさを感じた時は、かかりつけの医療機関に相談してください。