鉄欠乏性貧血について

鉄欠乏性貧血は、その名の通り鉄欠乏が原因で起こる貧血です。鉄欠乏を起こす理由としては鉄分の摂取不足や、出血による鉄分の喪失などが考えられます。したがって、食生活の見直しとともに胃や腸などからの出血が無いかどうか、特に中高年の方では胃がんや大腸がんなどを念頭に置いた精査が必要となります。また女性では、子宮筋腫などの婦人科系疾患の存在に注意が必要です。このように、鉄欠乏性貧血がみられた場合は他の病気が潜んでいないかどうか調べることが大切です。

貧血の一般的な症状として、息切れや疲れやすいことなどがあげられますが、鉄欠乏性貧血にみられる症状・徴候として、舌炎(舌が痛む)、嚥下障害(物が飲み込みにくい)、スプーン状爪(爪がスプーン状に反り返る)、異食症(氷などを無性に食べたくなる)などがよく知られており、これらがきっかけとなって病気が見つかることもあります。

治療は、原因となっている病気があればその治療をすることが基本です。そして鉄分を補充するために食事療法や鉄剤の投与が行われます。食事に関しては、鉄含有量の多い食品(肉類、カツオ、マグロ、ひじき、ほうれん草など)を積極的にとりましょう。鉄剤は内服治療が原則ですが、静脈注射で投与する場合もあります。貧血が改善したからといってすぐに治療をやめてしまうと貧血が再発しやすいので、鉄分が体に十分蓄えられるまで治療を続けることが大切です。