右上腹部にある胆のうは、肝臓で作られた消化を助ける胆汁を濃縮し貯蔵する袋状の臓器です。胆のう結石(胆石)は、胆汁に含まれるコレステロールや胆汁色素が、胆のう内で結晶となり、さらに石の様に固まり大きくなるため結石と言われています。
本邦での胆石保有率は約5%で、加齢と共に増加する傾向にあり、中年の肥満傾向の女性に多く、食生活が関与し、脂質異常症、非アルコール性脂肪性肝障害や、カロリーの摂り過ぎの方などに出来やすいと言われています。
胆石の大きさは砂状から指先大と色々で、また数も1個から無数で、大きく分けてコレステロール結石と色素結石に分類されます。胆石の50~70%は症状のない無症状性で、検診や腹部エコーで発見される事が多いですが、診断が難しい時はCTやMRI検査が必要で、内視鏡下エコー、内視鏡下造影検査を行うこともあります。
胆石は急に悪化すると胆石発作や急性胆のう炎が起こります。胆石発作は主に突然の上腹部の激しい痛みで発症し、悪心嘔吐を伴うことがあります。急性胆のう炎は腹痛、発熱、 黄疸を併発し、そして重症化して化膿性胆管炎になるとショックや意識障害が起こり、敗血症などで亡くなることがある怖い病気です。
胆石の治療は、無症状は基本的には経過観察ですが、症状や胆石、胆のうの形態に応じて、内服溶解療法、体外衝撃波砕石術や胆のう摘出術があります。
無症状胆石と発がんの関連性は完全に否定されていないため、年1回程度のエコー検査を受けることをお勧めします。
胆石の方は、かかりつけ医と治療方針を相談してください。