手足口病は、その名のとおり、手・足・口などに水疱性の発疹が出る、コクサッキーウイルスやエンテロウイルスなどの感染によって起こる感染症です。主に夏季を中心に子どもがかかる病気ですが、秋や冬にも発生することがあり、ときには大人がかかることもあります。
これらのウイルスは口腔や腸内で増えるため、ウイルスに感染した人の鼻汁や便、咳やくしゃみなどにより、人から人に感染します。ウイルスに感染後3~6日で手のひらや足の裏に米粒ほどの赤い発疹や水疱ができ、口の中の粘膜にも水疱が出始めます。手足の発疹や水疱には痛みはありませんが、口の中の水疱は破れてびらんや潰瘍になると痛みを伴います。発熱がみられるのは2~3人に1人程度で、通常は高熱が続くことはありません。まれに髄膜炎、脳炎などの中枢神経系の合併症などがでることがあります。
今年の手足口病は、(1)発病初期に高熱がでる、(2)比較的発疹が大きく、手足だけでなく広範囲に認められる、(3)治ってから数週間後に爪が浮き上がってはがれ落ちることがある、などの特徴がみられています。
手足口病には予防接種はなく特効薬もありません。発熱、頭痛、発疹・水疱への対症療法が中心になります。ほとんどの場合は数日間程度で自然に治りますが、高熱や頭痛が続いたり、嘔吐を繰り返すなどの場合は、できるだけ早くかかりつけの医師に相談してください。
手足口病は、治ったあとでも数週間、便や鼻汁などからウイルスが排出されることがありますので、日常生活ではよく手を洗い、衣類をこまめに洗濯するようにしましょう。