スキン・テアとは摩擦やズレなどの外からの力(外力)によって、皮膚が裂けてできる裂傷で、皮膚の一番表面(表皮)から少し深いところ(真皮)までのキズのことをいいます。
病院や施設、あるいは自宅で療養中の高齢者の手や腕に、赤黒く黒ずんだ皮下出血や薄皮が剥がれ出血しているようなキズを見たときにはスキン・テアだと思って、まず間違いありません。
スキン・テアが起きる状況としては、絆創膏を剥がす時、室内を歩いていて転倒した時、手や腕などがベッドの柵や車椅子などで擦れた時、強く腕などを握ったり引っ張ったりした時、衣服で強く擦れた時、入浴の際に身体を強く拭いた時、痒みのために皮膚を強く掻いた時、などが挙げられ、「皮がずるっと剥けた」様な状態になります。
スキン・テアが起きたときは、できるだけ早く剥がれた表皮を、きれいに元の場所に戻してテープ固定をします。これがちょっとしたコツになります。うまくいくと1週間ほどで治癒します。
高齢者の皮膚の乾燥が、皮膚が弱くなり、痒みをもたらし、スキン・テアが起こりやすくなります。医療・介護現場では「皮膚の保湿」はとても大切です。塗り薬のヘパリン類似物質やワセリン、その他の油性軟膏が使われます。
皮膚の保湿のほか、ベッド柵や車椅子の突出部などにカバーをつける、腕や下肢をアームカバーやレッグウォーマーで保護する、介護で腕や足を強く握ったり、引っ張ったりしない、等の予防対策が最も大切です。
超高齢社会の日本では、医療者や介護者がスキン・テアを知っておく必要があります。予防や簡単なケアの方法について、医師や看護師の指導を受けておきましょう。