心臓は全身や肺に血液を送り出すポンプの役割をする左右の心室と、肺や全身の静脈からの血液を心室に送り込む左右の心房で構成されます。
心房細動は心房が細かく震えて不規則な動きをする不整脈です。
心房の血液がよどんで固まりやすくなり血液の塊(血栓)が出来て全身の血管に流されてしまうことがあり、血栓が脳の血管に詰まると心原性脳梗塞になり重大な後遺症を残します。また心房の収縮が無くなり、速い不規則な脈となる為に心機能が低下し、心不全が起こりやすくなります。
高齢化に伴い心房細動は増加し、80歳以上で1割近くの方に見られます。動悸、倦怠感、眩暈(めまい)、息切れや胸痛などを訴えられますが、無症状の方もおられます。
心房細動の治療は心原性脳梗塞予防の為に血液をサラサラにする抗凝固薬を処方したり、心機能低下を抑えるために薬を用いて心臓をゆっくりしっかり打たせたり、元の規則正しい脈に戻したりします。最近は不整脈の電気回路を遮断し、心房細動の発生を抑えるカテーテルアブレーションを行う方法があります。
心房細動の原因は、以前は心臓弁膜症(弁膜症性心房細動)が多く見られましたが、最近はそれ以外の患者さん(非弁膜症性心房細動)が大半を占めます。高齢の男性で特に高血圧や糖尿病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)のある方に多く見られます。
健診で血圧や血糖が高いと言われたり、タバコが止められない人は要注意ですので、かかりつけ医に相談されることをお勧めします。