便秘

便秘とは本来体外に排出すべき糞便を「十分量」かつ「快適に」排出できない状態のことで、排便回数の目安として1週間に3回未満の場合を便秘といいます。さらに鹿の糞のようなコロコロの硬便、強くいきむ、4回に1回以上摘便、残便感、直腸の閉塞感の複数があれば、慢性便秘と言ってよいでしょう。単に毎日排便がないというだけでは、便秘とは言わないのです。

慢性便秘の方は、まず生活習慣を見直すことが必要です。運動不足、朝食を摂らない、食物繊維不足、喫煙、飲酒は便秘の原因です。糖尿病、甲状腺機能低下症は便秘になりやすい疾患です。また薬剤による便秘に注意します。特に抗ヒスタミン薬(クロルフェニラミンなど)、鎮咳剤(ジヒドロコデインなど)は総合感冒薬にもしばしば配合されていますが、便秘の原因になります。

便秘治療薬は、浸透圧性下剤(酸化マグネシウムなど)、刺激性下剤(センナ、センノシドなど)など、多くの内服薬があります。ただし刺激性下剤は長期間連日服用すると次第に効かなくなってきます。使用量を守り、毎日の服用ではなく、なるべく2~3日に1回程度の頓服使用にしましょう。内服の便秘薬では効果が乏しく、座薬や浣腸、摘便が必要な方もおられます。便秘の治療に難渋している方や、最近発症した便秘の方では便秘の背景に大腸癌が隠れていることもありますので、一度かかりつけの医師にご相談ください。