奈良県医師会 笠原 仁
まず一番肝心な国(厚労省)から地方自治体へのワクチンの供給の実態ですが、情報が不足していました。自治体からの問い合わせに対しては、ワクチンを保管する冷凍庫の数、接種人口、接種体制などをみて配分していると回答しているそうですが、その判断プロセスや結果については後日検証が必要かもしれません。
配分のバラツキといえば、なかなか接種の日程が決まらず「あそこの市では…」「ここの町では…」という情報にハラハラされた方もいらっしゃるかと思いますが、それはこのように配分されるワクチンの量や日程が自治体自身ギリギリまでわからないから、という事情があるのです。
最近、ワクチンの接種予約が急に進むようになりましたが、これはワクチンがすでに自治体に到着しているのではなく、国から“これからどんどんワクチンを納品するから、高齢者は7月末までに接種を終われるようにしなさい”という通知があったためで、これからたくさん納品されるだろうという見込みで予約をとっているそうです(4月30日の厚労省からの事務連絡)。
さて各自治体にワクチンが到着しましたら、あとは接種するだけです。これも大小各自治体によってさまざまですが、各診療所すべてと協議するのは時間的にも物理的にもできませんから、その地区の医師会と自治体が協議し、医師会は集団接種会場に医師会員を派遣したり、各診療所で接種できるような体制を調整するなどして接種を行っているところが多いようです。
私の所属する橿原地区医師会では、5月の土日祝を含むすべての日程で集団接種会場に医師会員を複数人派遣し、1医師あたり30分に10人のペースで問診・接種しています(1日最大の日1120人接種)。
最後になりますが、ワクチンは万能ではありません。基本的な予防策は、ワクチンを打っても打たなくても実施しなくてはなりません。引き続き3密を避けるなどの感染予防対策に一人一人が取り組んでいただきたいと思います。