奈良県医師会 中谷真士
「頭が痛い」ことが多い世の中ですが、頭痛についてお話をしましょう。
現代社会において頭痛を経験したことがない人は少ないのではないでしょうか。そして4人に1人はいわゆる「頭痛もち」といわれております。二日酔いの頭痛や風邪による頭痛、脳出血による恐ろしい頭痛などの二次性頭痛もありますが、今回は「一次性頭痛」についてお話しします。
一次性頭痛には「緊張型頭痛」「片頭痛」「群発性頭痛」などがあります。
まず「緊張型頭痛」ですが、その痛みは「締め付けられるような痛みや重い痛み」などと表現され、頭の両側または全体にみられます。原因としては、ストレスや目の疲れなどで、肩や首の凝(こ)りを伴うこともあります。対策として、長時間同じ姿勢を続けない、軽いストレッチをする、気分転換をする―などがあります。入浴も良いでしょう。治療としては、鎮痛剤や肩凝りのお薬、場合により抗うつ剤などが使われます。
次に「片頭痛」についてです。その痛みは「脈打つような痛み」と表現され、主に頭の片側にみられます。原因は様々で、寝不足、寝過ぎ、ほっとした時や女性では月経―などにも関係しています。またチョコレートやワインなどの食品や、気圧の変化なども影響しているといわれています。そして特徴的なのが「時に視野が欠けたり目の前で光がチカチカするような前兆がみられる」ことです。対策としては、やはりストレスをためない、適度な睡眠をとる、原因が分かっている場合はそれを避ける―などです。また、前兆があれば早めに薬を服用するか、患部を冷やして暗い場所で安静にしましょう。入浴や運動により悪化することもあるので、避けるほうが望ましいです。片頭痛の痛みはしばしば我慢できないほど辛いことがあるので、可能なら仕事は休んだ方が良いでしょう。治療としては鎮痛剤、エルゴタミン製剤、そして特効薬のトリプタン製剤などがあります。また、セロトニン受容体作動薬の「ジタン系薬剤」という新薬もあります。これらは比較的効果が高いのですが、使いすぎると薬物乱用性頭痛を来(きた)すことがあるので注意が必要です。
時に片頭痛と緊張型頭痛が合併して起こることがあり、「混合型頭痛」といわれています。ほぼ毎日軽い頭痛があり、月に数日強い頭痛が起こるような場合は混合型頭痛の可能性があります。
次は「群発性頭痛」について説明します。頻度は低いのですが、「一定の時刻になると1~2時間、毎日のように片目がえぐられるような激しい痛み」が起こります。時に涙が出たり鼻水、鼻づまりを伴います。比較的若い男性に多く、血管を拡張する薬やお酒などで起こることがあります。対策としては原因になるものを控えることくらいで、起こってしまえば我慢することが難しいので早めに受診した方が良いでしょう。治療は、酸素吸入や薬物治療になります。
これらの慢性頭痛を経験した場合は、「どのような時に、どのような痛みが、頭のどの部分に、どれだけの頻度で起こるのか、また前兆はあるのか」などを観察した上で、頭痛専門外来もしくはかかりつけ医を受診してください。