奈良県医師会 笠原仁
当院でも4月からマイナンバーカードを保険証として利用していただくようになり、そのシステム、利用方法についてお話しさせていただきたいと思います。
▶「オン資システム」とは
まず大前提として、オンライン資格確認等システム(以下、オン資システム)というところに、ほぼ全国民の保険証情報、全ての特定健康診断結果、長寿健康診断結果、一部の小規模医療機関を除くレセプトデータ(医療機関が保険診療の請求をするときに使うデータで、病名、薬、検査などが記載されています)がすでに個人ごとに登録(紐〈ひも〉づけ)済みになっています。
最近、この登録する作業で「違う人の情報が紐づけされてしまっている」ということが問題になっています。
今でもこのデータを個人が特定できない集団の形でデータを抜き出し、様々な医療政策、研究に使われていますが、今後もこの医療ビッグデータを医療政策、医療経済、医療研究など、幅広く利用していこうというのが国の方針です。
▶医療情報閲覧の同意必要
では、今回のマイナンバーカードの保険証利用という話はといいますと、「医療機関でそれら医療データ(保険証情報を含む)を見てよいか、ということに同意するかどうかの判断をしてください」という話になります。
よくある誤解に「私の個人情報が、マイナンバーと関連付けられるのはちょっと、、」というものがありますが、前述の通り、すでに関連付けされています。
あくまでその関連付けられた医療情報を、受診した医療機関で見られるようにしていいかどうか、の同意を求められるにすぎません。医療情報閲覧の同意は、受診のたびに同意してもらうシステムになっています。
▶「顔認証」は目視確認も
実際の流れをお話しします。
まず、窓口でマイナンバーカードを機械にセットします。顔認証という話が独り歩きしていますが、実際は目視確認や4桁の暗証番号での認証もできますので、うまく顔認証できなくても大丈夫です。
認証が済むと、保険証のデータがオン資システムからダウンロードされてきます。次に先ほどの関連付けられたデータの一部(他の病院を含めて自分が受けた検査、薬、特定健康診断など)を、その医療機関で見てもよいかどうかの同意が求められます。
最後に「限度額適用認定証」の情報を見てもよいかどうかの同意が求められます。
以上、マイナンバーカードを保険証として使えるようにされている場合、3回同意を求められることになります。これを顔認証ができる機械で行う場合は、画面をご自身でタッチ、目視確認の場合は端末を操作する人に同意の有無を申告してもらうことになります。実際にやってみると、目視確認の場合は数十秒で済むので、とてもあっけないものでした。
▶将来的に運転免許証も
近いところで、保険証の次は運転免許証という話が出ています。利用されるかどうかはもちろん個人の自由ですが、遠くない将来、銀行のキャッシュカード、クレジットカード、ポイントカードなど個人情報に関連したものに次々利用されるのではないか、そのようなことは技術的には難しくないな、というのが実際に運用し始めて感じる率直な気持ちです。