9価の子宮頸がんワクチン

奈良県医師会 中矢雅治

子宮頸(けい)がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)が子宮頚部に持続感染することで発症する、20代から40代の若い女性に多いがんです。

日本では年間約11000人が罹(り)患し、2900人の方が亡くなっています。ただ、ワクチンによって予防することができる数少ないがんの一つでもあります。

HPVはとてもありふれたウイルスで、米国では性経験のある女性の84.6%が一生に一度は感染すると推計されています。HPVをうまく自然に体から排除できたとしても免疫はほとんど獲得できないため、何度でも感染する可能性があります。ワクチンでしか免疫を獲得することができない感染症なのです。

2023年4月から、9種類のタイプが入ったHPVワクチンが定期接種およびキャッチアップ接種で使用できるようになりました。

9価のワクチンは、従来のHPV6/11/16/18型の4種類に、HPV31/33/45/52/58の5種類が追加されたワクチンです。これまでのワクチンでは約65%だった子宮頸がんの予防効果が、約88%まで上げることができます。

対象は小学校6年生から高校1年生ですが、2025年3月末までは、キャッチアップ世代(平成9年度生まれ~平成18年度生まれ)も無料で接種することが可能です。ただし接種には最低でも半年以上はかかりますので、初回接種は2024年夏までに開始する必要があります。

基本的には15歳未満では2回(初回から6~12か月後に接種)、15歳以上では3回接種(2回目は初回から2か月後、3回目は初回から6か月以上あけて接種)となります。

半年以上の間隔を開けることで、2回接種でも十分な予防効果が認められます。ただし、このワクチンはHPVに感染してからでは効果が著しく落ちてしまうため、初めての性交渉よりも前に接種することが極めて重要です。

副反応に関しては、痛みが強いワクチンであるため、接種部位の疼痛(とうつう)が9割、接種部位の腫脹(しゅちょう)や紅斑(こうはん)が4割と高い頻度で見られます。発熱は3~5%程度です。

当初「HPVワクチン接種後の副反応」と報道された、持続する頭痛や倦怠(けんたい)感、身体の痛み等といった24項目の症状に関しては、HPVワクチンを接種していない人での発症頻度と差がほとんどなく、HPVワクチンと症状との間に有意な関連性は認められておりません。

2022年4月の積極的な接種勧奨の再開以降、接種される方は徐々に増加しており、2023年4月~6月で約40万回接種されております。

キャッチアップ世代の方は、期間を過ぎて任意接種となりますと、1回約3万円の費用がかかってきます。2025年3月までは公費(無料)で接種できますので、是非検討してみてください。