奈良県医師会 澤井 遵
日本の予防接種事情は、世界から遅れていましたが、2年前から導入されたヒブワクチン、小児肺炎球菌ワクチン、さらにロタウィルスワクチンも接種できるようになり、先進諸国には及ばないものの、大きく前進しました。
これらのワクチンは、生後2ヵ月からの接種が可能、それぞれ複数回の接種が必要で、できるだけ早期に免疫をつけることが求められています。従来からあるBCG、三種混合、それに平成24年9月から始まるポリオ不活化ワクチンを加えますと、乳児期に十数回の接種が必要になります。
1回に1種類のワクチンを接種していく場合、途中に風邪を引くなど、体調不良で、予定どおりに進まなくなることもあります。
それで、1回に何種類かのワクチンを同時接種するのが望ましく思われます。同時接種によって、それぞれのワクチンの免疫の付き具合が悪くなったり、ワクチンの副反応が強く出たりすることはありません。また、同時接種の際、接種できるワクチンの本数に制限もありません。その上、同時接種は、①各ワクチンの接種率が向上する、②子どもたちがワクチンで予防できる疾患から早期に守られる、③保護者の経済的、時間的負担が軽減される、などのメリットがあります。
以前、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン導入時に、同時接種をした子どもが亡くなるという、不幸なケースが複数例報告されましたが、その後の検証で、同時接種が死亡の直接の原因ではないことが公表されました。諸外国では、同時接種は広く行われており、安全性は確かめられています。
子どもたちをワクチンで予防できる病気から守るためには、必要なワクチンを適切な時期に、適切な回数を接種することが重要です。
ぜひ、子どもたちのために、同時接種をお考えいただけたらと思います。
詳しくは、かかりつけの医療機関でご相談ください。