カフェインの摂り過ぎに注意しましょう

奈良県医師会 溝上晴久

コーヒーに多く含まれていることで知られている「カフェイン」ですが、コーヒー以外の飲食物にも含まれています。

カフェインには、神経を鎮静させるアデノシンの作用を阻害することにより、神経を興奮状態とする働きがあります。この働きにより、眠気を覚ましたり、やる気を起こしたりする効果があらわれます。

適量であれば仕事や勉強の時などに効果的ですが、過剰に摂取した場合は様々な中毒症状が出てくるため注意が必要です。

中毒症状が軽度の場合は、めまい、動悸(どうき)、頭痛、嘔気(はきけ)、下痢、不安感、イライラ感、不眠などの症状がみられます。重度の場合は、妄想、幻覚、極度の興奮状態、意識低下などがみられ、最悪の場合は死に至ることもあります。

最近は、若者を中心としたカフェイン中毒が急増しており、社会問題となっています。カフェインの摂取許容量は個人差が大きいこともあり、日本においては、はっきりとした数字は提示されていないのが現状です。

ただし妊婦に対しては、摂り過ぎると出生時の低体重など胎児の発育に影響が及ぶ可能性が指摘されており、多くの国で1日当たりのカフェイン摂取量を200mgまでに制限するよう勧められています。

子どもに関しては、大人より作用が強くなりやすく、脳や体の成長に影響する可能性があるため、できるだけ少量に制限するよう勧められています。

一般成人に関しては、欧州やカナダでは400mgまでに制限するよう勧められています。

カフェインの致死量に関しては、個人差が非常に大きく一概にはいえませんが、一般的には5000~10000㎎(5~10g)とされています。

カフェインは、コーヒー以外にも一部の医薬品、チョコレート、紅茶、日本茶、コーラやエナジードリンクなどの清涼飲料水にも含まれています。

特にエナジードリンクには、1缶当たりにコーヒー2杯分以上に相当するカフェインを含むものもあります。知らず知らずの間に、カフェインを多く含むものを同時摂取してしまうこともあるため、日頃から医薬品や飲食物のカフェイン量を把握しておくことが大切です。

ただし、適切な量であれば問題はありません。コーヒーの習慣的摂取は発がんを予防する効果、生活習慣病予防効果、白内障のリスク低下効果など、多くの良い報告があります。緑茶も以前から発がんを予防する効果が報告されています。

カフェインを含む飲食物は、普段から無意識のうちに摂取していることが多く、安全な量を守ってうまく付き合っていきましょう。

 

食品名 カフェイン濃度
コーヒー 60㎎/100ml
インスタントコーヒー 57㎎/100ml
玉露 160㎎/100ml
紅茶 30㎎/100ml
せん茶 20㎎/100ml
ウーロン茶 20㎎/100ml
エナジードリンク 32~300㎎/100ml

(食品安全委員会 「食品中のカフェイン」より抜粋)