自己免疫疾患編① ―関節リウマチはどんな病気?―

奈良県医師会 赤井靖宏

「関節リウマチ」は、わが国で80万人以上の方が患っており、慢性的に関節が傷害される病気です。30~50歳台の女性に多く起こり、関節の痛みや腫(は)れだけではなく、疲れやすさや微熱などの症状を伴ったり、肺などの内臓に障害を起こしたりすることもあります。

このように、関節リウマチは多くの障害を起こす可能性があるため、適切に治療しないと日常生活に支障をきたします。

関節リウマチが発症すると、思ったより早く(発症2年以内)関節が壊れ始めることが知られています。関節が壊れないようにするためには、関節リウマチを早期に診断して、早期に治療することが大事です。

関節リウマチは、「本来は自分の体を外敵から守るはずのリンパ球に異常が起こり、自分の関節などを攻撃することで病気になる」と考えられています。このように、自分の体を守るはずの細胞などが何らかの原因で自分自身を攻撃してしまう病気を「自己免疫疾患」といいます。

関節リウマチは、起床時の関節のこわばりと関節の痛みや腫れで始まります。関節リウマチの診断には、関節の痛みや腫れの様子を医師が評価することがとても重要です。

近年は「関節超音波検査」がよく行われます。関節超音波検査は、レントゲン検査などで異常が出る前に関節内部の炎症をとらえることができるため、関節リウマチの早期診断には大変有用な検査です。

関節リウマチ治療の目標は「寛解」です。「寛解」とは、病気が治ってしまうわけではないのですが、あたかも病気が治ったかのような状態になることです。寛解になると、関節の痛みや腫れは全くなくなり、血液検査での異常も軽くなります。関節リウマチを寛解に導くことができると、関節が壊れることはなく、関節リウマチでない方と同じように生活を楽しむことができます。

関節リウマチの治療は近年大きく進歩し、多彩なお薬を使うことが可能になりました。リウマチ診療を行う医師は、関節リウマチの寛解を目指して、患者さんと相談しながら治療を進めていきます。寛解にまでは至らない場合でも、患者さんができるだけ日常生活に不自由のないように、また将来、関節が壊れないようにお薬を選びます。

関節リウマチの治療が進歩したため、寛解やそれに近い状態になった患者さんは、大きな医療機関から離れ、自宅近くの診療所で治療を受けることが可能になってきました。患者さんに何らかの異常があれば、大きな病院がすぐに対応します。このような仕組みを「病診連携(病院と診療所の連携)」といいます。

関節リウマチというと、整形外科の担当と考えがちですが、最近は関節リウマチを診療する内科のかかりつけ医も増えています。関節が痛くなったときは、整形外科や内科で早めに診察を受けてください。