睡眠時無呼吸症候群とは

奈良県医師会 増田大徳

「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」は、「睡眠中に呼吸が一時的に停止する状態」を指します。この状態は10秒以上続く場合が多く、一晩に数十回から数百回も発生することがあります。これにより、十分な睡眠が取れず、日中の強い眠気や集中力の低下を引き起こします。

 

1.主な症状

SASの主な症状として、以下のようなものが挙げられます。

・いびき:大きな音でいびきをかくことが多いです。

・無呼吸:寝ている間に一時的に呼吸が止まることがあります。

・日中の眠気:十分な睡眠が取れないため、日中に強い眠気を感じます。

・集中力の低下:日中の活動に支障をきたすことがあります。

 

2.原因とリスク要因

SASの原因は様々ですが、一般的には以下の要因が関与しています。

・肥満:喉周りの脂肪が気道を圧迫することがあります。

・加齢:年齢とともに筋肉が弱くなり、気道が閉じやすくなります。

・遺伝:家族に同様の症状を持つ人がいる場合、リスクが高まります。

・喫煙と飲酒:これらは気道の筋肉を弛緩(しかん)させ、無呼吸を引き起こしやすくします。

 

3.診断と治療

SASの診断には「睡眠ポリグラフ検査」が用いられます。この検査では、睡眠中の呼吸、心拍、脳波などを記録し、無呼吸の発生頻度や程度を評価します。

治療法としては、以下のような方法があります。

・CPAP療法:持続陽圧呼吸療法(CPAP)は、マスクを通じて空気を送り込み、気道を開いた状態に保つ方法です。

・生活習慣の改善:肥満の解消、禁煙、節酒など、生活習慣を見直すことが重要です。

・外科手術:重度の場合、気道を広げる手術が行われることもあります。

 

4.日常生活での予防法

日常生活の中でSASを予防するためには、以下のような対策が有効です。

・適切な体重管理:肥満を避け、健康的な体重を維持することが大切です。

・定期的な運動:運動を習慣化することで、全身の筋肉を強化します。

・規則正しい睡眠習慣:一定の時間に寝起きすることで、良質な睡眠を促進します。

・アルコールとタバコを控える:これらは気道に悪影響を与えるため、控えることが推奨されます。

 

まとめ

睡眠時無呼吸症候群は適切な診断と治療を受けることで、日常生活への影響を大幅に軽減することができます。

自己診断や自己治療は避け、専門医の指導を受けることが重要です。皆さんの健康管理に役立つことを願っています。