奈良県医師会 本木隆規
こども家庭庁が2023年4月に発足し1年が経ちました。本年度6月に「日本版DBS(こども性暴力防止)法」、ヤングケアラー支援を強化した「改正子ども・若者育成支援推進法」が制定されました。
1つ目の「こども性暴力防止法」は、子どもに関わる幼稚園から高校までの学校や認定を申し込んだ民間教育保育などの事業者が職員を採用する際に性犯罪歴を確認できる日本版DBS確立、職員の性暴力防止研修、子どもが安心して気軽に相談できる体制構築、性被害の疑いがある子どもの調査・保護を定めたものです。
2つ目の「改正子ども・若者育成支援推進法」は、ヤングケアラーを幅広く支援するものです。ヤングケアラーとは、家族の大人に代わって家事・育児等を担うことで、成長発達に必要な遊びや自立に向けた勉強の時間を過度に奪われている人です。年齢はおおむね30歳未満を中心としていますが、支援対象者を厳密に絞り込むのではなく、一人一人の客観的状況と本人の主観的な受け止めを踏まえることとしています。
このように、こどもの人権を実現化する施策が一つ一つ打ち出されています。しかし、2023年度にこども家庭庁によって行われた「こども政策の推進に関する意識調査」において「こども政策に関して自身の意見が聴いてもらえている」という設問について『そう思う』、『どちらかというとそう思う』の割合は、40代が13.6%、30代が14.4%、20代以下が20.3%と、若くなるにつれて若干改善されつつありますが受け止められている感は低く、これからの伸びが期待されます。
あなたは、「子どもの権利条約」をご存じですか?「子どもの権利条約」とは、差別されない、あなたが一番、生きる権利・守られる命、意見の尊重などを核とした40条のことです。これは、1989年に国連総会で「子どもの権利条約」は採択され、日本は1994年に世界158番目に批准しました。
紛争国や途上国のための条約であるため、乳幼児死亡率なども低い日本には必要ない、当時は学校現場が荒れており学級崩壊の最中に子どもに権利を教えたら、権利の拡大解釈がされる不安があったため、批准が遅れたと言われております。
また、日本の文化的背景として子どもを始めとした弱者は「守る」ものという規範があり、「子どもを成人と対等な一人の人格として扱う」のを阻んでいたと思われます。
子どもの人権を主体化するのは行政だけでなく、我々一市民も子どもの権利を知り行動することが求められます。目標としては「こどもまんなか社会」の実現の一言につきます。
具体的な行動として、あと10分追加して、今日この記事を読んだ方は、ご自身の家族に現在子どもがいる・いないに関わらず、まずは「よくわかる!こどもの権利条約」のキーワードでネット検索し、法務省の全16頁の冊子を読んでみませんか。