強直性脊椎炎

奈良県医師会 中垣公男

 (中垣整形外科・五條市)

若くて腰痛が長引いているときは、「強直性脊椎炎(きょうちょくせいせきついえん)」にかかっているかもしれません。

強直性脊椎炎は、脊椎関節炎と呼ばれるいくつかの病気のひとつです。40歳以下の若年者に多く見られ、特に男性の方が発症しやすいとされています。

遺伝的な要因とストレスや感染症など外部からの刺激により、体の中の免疫システムが異常を起こし、炎症を起こす「サイトカイン」と呼ばれる物質がたくさん作られて、主に脊椎や仙腸関節(仙骨と骨盤の間)で痛みや腫(は)れを引き起こします。この疾患の遺伝的要因として「HLA-B27」という遺伝子の関与が挙げられます。

症状は、腰痛や背中のこわばり、関節の痛みがあります。特に朝起きた時に症状がひどくなることが多く、活動によって改善されます。眼の炎症を起こすこともあります。アキレス腱(けん)や足底腱膜に痛みが出たり、腹痛、下痢、血便など腸の炎症を起こしたり、皮膚症状(乾癬〈かんせん〉)がみられることもあります。

炎症は、痛みや腫れを引き起こすだけでなく、長く続くことで骨を破壊し、脊椎や仙腸関節が固くなり動きにくくなります(強直化)。骨の破壊は発症から2年くらいの間に進み、強直にはさらに5~10年かかることが分かっています。強直性脊椎炎では、正しい診断と症状に応じた早期からの適切な治療が大切となります。

強直性脊椎炎の診断のために患者さんの病歴や症状を詳しく聞き取り、体の動く範囲や痛みの場所を確認します。次に血液検査で炎症反応や特定のマーカー(例えば、HLA-B27抗原)の有無を調べます。HLA-B27抗原は現在保険適応になっておらず、一部の医療機関でしか検査できません。X線検査やMRI(磁気共鳴画像法)を用いて、関節の状態や骨の変化を詳しく観察します。特に、MRIは早期の炎症を確認するのに有用です。

強直性脊椎炎の治療には「薬物療法、理学療法、生活習慣の改善、手術療法」があります。これらにより症状を和らげ、生活の質を向上させることが可能です。

まず薬物療法としては、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs〈エヌセイズ〉)や、免疫を調整するスルファサラジン、生物学的製剤、JAK(ジャック)阻害薬が使用されます。ステロイド薬の局所注射をすることもあります。

理学療法士によるリハビリテーションは、関節の柔軟性を保つことや筋力を強化するのに役立ちます。さらにストレッチや軽い運動を取り入れることで、痛みの緩和にもつながります。

日常生活では、特に運動をすることが大切です。適度な休息をとりながら、生活のなかで無理のない運動をしましょう。長時間座った姿勢をとると、脊椎や仙腸関節へ負担がかかります。車を運転する時はこまめに休憩をとりましょう。

股(こ)関節については、進行した場合、人工股関節全置換術が施行されることもあります。

早期に適切な診断と治療を受けることで症状を軽快することが可能ですので、気になる症状があれば、整形外科やリウマチ専門医に相談することが大切です。