寒冷アレルギーとは

奈良県医師会 増田大徳

冬になると、外の冷たい風に当たったり冷水に触れたりした直後に、皮膚が赤く腫(は)れてかゆくなる方がいます。このような症状は「寒冷アレルギー」(正式には「寒冷蕁麻疹〈じんましん〉」)と呼ばれる病気です。
寒冷アレルギーは、冷たい刺激を受けた部分の皮膚で、体の中の「ヒスタミン」という物質が急に放出されることで起こります。ヒスタミンは血管を広げたり神経を刺激したりする作用があるため、皮膚が赤く膨らみ強いかゆみを感じます。暖かい場所に移動すると数十分でおさまることが多いですが、再び冷気に触れると繰り返します。
主な症状は、冷たい空気や風、冷水、冷たい飲食物などに触れた直後に出る「かゆみ」「赤み」「ミミズ腫れ」です。手足や顔に多く、入浴前後や朝の洗顔時に気づくことがよくあります。
重い場合には、冷たい飲み物で喉(のど)の粘膜が反応して呼吸が苦しくなったり、全身に蕁麻疹が出て血圧が下がる「アナフィラキシー」を起こすこともあります。まれではありますが、注意が必要です。
原因はまだはっきり分かっていませんが、体質的なアレルギー傾向や、感染症後・疲労・ストレスなどで免疫のバランスが乱れたときに起こりやすいとされています。また、一部には遺伝性のタイプも報告されています。
診断は医療機関で「氷を皮膚に数分当てるテスト(氷試験)」を行い、赤みや膨(ふく)らみが出るかを確認します。市販薬で一時的に症状を抑えることはできますが、根本的な診断・治療には皮膚科の受診が勧められます。
治療の基本は、「冷たい刺激を避けること」と「抗ヒスタミン薬の内服」です。外出時はマフラーや手袋で肌を守り、急激な温度変化を避けるようにしましょう。入浴時は、冷えた体をいきなり熱い湯に入れず、ぬるめの温度からゆっくり温めます。発症のきっかけがはっきりしている場合は、運動前や水泳前に医師の指示で薬を服用して予防することもあります。
寒冷アレルギーは多くが数か月から数年で軽快しますが、長く続く場合もあります。自己判断での薬の中断や、強い冷えへの無理な慣らしは逆効果になることがあります。症状が続く、広がる、息苦しさを伴うなどのときは、早めに医師に相談してください。