奈良県医師会 前田純宏
(まえだ泌尿器科クリニック・香芝市)
出血を見ると、多くの方は「何か悪い病気では」と不安になります。特に尿や精液など、体の中からの出血は、皮膚の傷の出血と違って心配が強くなりがちです。一方で、出血が一時的に止まったことで安心し、そのまま放置してしまうと、思わぬ病気が隠れていることもあり注意が必要です。
◎血尿には、健康診断などで指摘される「尿の色は正常だが、検査で血が混じっていると分かるもの」と、「赤い尿として目に見えるもの」があります。
前者は疲労や膀胱炎などが原因で起こることも多く、治療や経過観察で改善すれば心配ありません。ただし、長く続く場合には受診していただいた方が良いでしょう。
一方後者の、赤い尿として目に見える血尿は、たとえ一度きりで自然に治まったように見えても、放置は禁物です。膀胱がんや尿路結石など、治療が必要な病気が見つかることが少なくありません。速やかに泌尿器科などへの受診が必要です。陰部を見られるような診察は基本的に無く、尿の精密検査や腹部の超音波検査で、ほとんどの病気は診断が可能です。
◎精液に血が混じる状態(血精液症)は、珍しい症状のため強い不安を感じて受診されます。「射精のあとだけ血尿が出る」症状も同じ原因であることが多いです。しかし、深刻な病気が原因であることは血尿ほど多くなく、前立腺や精液をためる「精のう」の炎症が原因である場合が大半です。
ただし、クラミジアなどの性感染症が関係していることもあり、繰り返す場合は泌尿器科での検査が勧められます。50歳以上の方では、前立腺がんの検査(PSA採血など)も一度受けておくと安心です。
◎陰茎や陰のうの皮膚からの出血は、「下着に血がついたが、尿は赤くない」という形で気づかれます。高齢の方では、血管腫と呼ばれる良性の血管のかたまりが原因のことが多く、陰のうの皮膚をよく見ると、数ミリの紫のブツブツがたくさん見えて、出血直後なら血がにじんでいることもあります。押さえれば止血できますが、繰り返す場合は治療が可能です。
◎泌尿器の出血にはさまざまな原因がありますが、特に「目に見える血尿」は一度でもあれば、早めに泌尿器科を受診することが大切です。



