奈良県医師会 植月祐次(天理市・うえつきクリニック)
暑い季節になると、泌尿器科の外来には「突然の激しい腰や脇腹の痛み」を訴える患者さんが増えてきます。その原因のひとつが尿路結石です。
尿の通り道(腎臓・尿管・膀胱〈ぼうこう〉)に石が詰まるこの病気は、「10人に1人が一生に一度は経験する」といわれており、男性では7人に1人とも報告されています。厄介(やっかい)なのが再発率の高さで、5年以内に約半数が再発するとされています。救急搬送されるほどの激痛にならないように、発症(再発)予防の知識をぜひ身につけてください。
尿の中にはカルシウム・シュウ酸・尿酸などのミネラル成分が溶け込んでいますが、これらがいろいろな原因で結晶化し、少しずつ成長したものが結石です。結石の約8割はシュウ酸カルシウムが主成分で、残りは尿酸結石・リン酸カルシウム結石などです。食事・水分摂取・生活習慣がその形成に深く関わっています。今回は食事や水分の摂取方法を中心に解説します。
① とにかく「水をたくさん飲む」― 最強の予防法
予防の大原則は水分摂取です。1日の尿量を2リットル以上に保つことが目標で、そのためには1日2〜2.5リットルの水分摂取が必要です。尿が十分な量を保たれることで、ミネラル成分が薄まり結晶化しにくくなります。
飲み物は水や麦茶が特におすすめです。麦茶はカフェインもなく、結石の原因となるシュウ酸もほとんど含まれないため、安心して飲めます。また、水にレモンを少し加えると、クエン酸の働きで結石ができにくい尿環境を整える効果も期待できます。
コーヒーや緑茶・紅茶も、通常の量であれば問題ありません。大規模な疫学研究でも、これらの飲み物が結石リスクを高めるという証拠はなく、水分補給として活用できます。
一方、コーラなどの清涼飲料水はリン酸を多く含み、結石リスクを高める可能性が指摘されています。飲みすぎには注意しましょう。
水分はこまめに少しずつ摂(と)ることが大切です。起床時・食事時・入浴前後など、習慣として取り入れましょう。夏場や運動後は発汗で尿が濃縮されやすいため、特に意識した補給が必要です。尿の色が薄い黄色〜透明であれば、十分な水分が摂れているサインです。
ただし、水分を摂りすぎればよいというわけではありません。心臓や腎臓に持病のある方は、水分を過剰に摂ると体に負担がかかる場合があります。目標量はあくまで目安とし、持病のある方は必ずかかりつけ医に適切な水分摂取量を相談してください。
また、就寝前に大量の水分を摂ると夜間頻尿の原因となり、睡眠の妨げになることがあります。夕方以降は摂取量を少し控え、日中にしっかり補給する習慣をつけましょう。
② 塩分と動物性タンパク質を控える
塩分の摂りすぎは、尿中のカルシウム排泄(はいせつ)を増やし、結石のリスクを高めます。日本人は世界的に見ても塩分摂取量が多い傾向があり、平均的な摂取量は1日10g前後とされています。極端な制限は必要ありませんが、濃い味付けを避け、薄味を意識する習慣が大切です。加工食品・外食・漬物・ラーメンなどは塩分が多いため、頻度や量に注意しましょう。
また、肉類・魚介類などの動物性タンパク質の過剰摂取は、尿酸値の上昇や尿中カルシウムの増加につながります。肉や魚を過剰に控える必要はありませんが、毎食大量に摂るような食生活は見直してみてください。植物性タンパク質(豆腐・納豆など)をバランスよく組み合わせることをおすすめします。



