外反母趾 ―小児から高齢者まで&軽度から重度まで―

―小児期からの対応が重要です―

――悪化防止のためにできることとは?――

 奈良県医師会 佐本憲宏

(田原本町・国保中央病院)

 「外反母趾(がいはんぼし)」は、足の親指(母趾)が小趾側に曲がり、付け根の関節が外側に突き出る変形疾患です。成人女性に多いイメージがありますが、実は小児から高齢者まで、幅広い世代で見られる足のトラブルです。それぞれの年代で原因や背景、現れる症状が異なります。

厚生労働省の調査では、患者調査が始まった昭和58(1983)年と比べて、手術を受ける患者は3倍以上に増え、また外来を受診する患者も約5倍に増加しています。これは外反母趾という疾患が認知され、またそれを治療する足の外科を専門とする整形外科医が増加したためでもあります。まだまだその地域差はあり、診療が不十分であることは否めませんが、幸い奈良県は足の外科医師が多い県であります。

発症にはさまざまは要因があげられます。「遺伝的要因」と「環境的要因」です。「遺伝的要因」には小児期から扁平足(へんぺいそく)、関節が柔らかい、柔軟性がある、母趾が多趾よりも長いなどです。または、両親が外反母趾であると発症率は明らかに高くなります。

「環境的要因」で一番大切なことは、靴の問題と生活様式の変遷です。小児期での不適切な靴選び(小さい靴、先に余裕がない靴、踵(かかと)を十分に把持できていないなど)で発症することがあります。

また、スポーツシューズは特に重要で、野球やサッカー、バスケットボール、テニスなどではフィットした靴以上にタイトな(窮屈でもぴったりフィットした)靴を選びがちです。

中高年の女性ではパンプスはもちろんのこと、逆にサンダル履きで済ませてしまうのも、外反母趾を悪化させる要因になります。

上記のことからもわかるように、女性に多い疾患です。男性の9倍の発症で、手術を受ける方の数も同等です。小児期には女児は男児の約7、8倍であり、そこから女性は悪化していく傾向にあり、その比率になります。

お祖母さんやお母さん方がもしも外反母趾ならば、子供さん、お孫さんたちの足と靴の減り方を観察してあげてください。もしもその傾向になるのであれば、整形外科、特に足の外科を専門とする整形外科医の受診をおすすめします。手術に至らないような指導や治療が可能です。

30~50代の女性は仕事や家事、育児で多忙であることもあり、受診まで至らない方々が多く、それが高齢になってかなりの重度変形で疼痛(とうつう)が突出した部分だけでなく、足裏や足趾(そくし)の変形(ハンマー趾など)、胼胝(タコ)や鶏眼(魚の目)などが加わってきます。

このような場合には、手術を要することが多いのですが、胼胝や鶏眼を処置したり、装具や足底挿板(アーチのついた靴の中敷き)を保険診療内で処方したりする、総称して「フットケア」も整形外科が行っています。

ご自身でできる予防は、足趾の体操やストレッチです。また、つま先立ちや踵立ちなど、足の筋肉を鍛えなおすことも重要です。

また、高齢者が生涯にわたって歩き続けられるよう支えていくことは、一番大切な健康寿命を延ばし、安心して年を重ねられる身体を維持することです。外反母趾変形は歩行形態が大きく変化して、転倒リスクも高まります。

小児期から高齢者まで、軽度変形から重度変形まで、一度整形外科を受診を、なかでも足の外科専門医(認定医、日本足の外科学会HP参照 https://www.jssf.jp/)の医師に診てもらってはいかがでしょうか。