12月1日は世界エイズデー

奈良県医師会 村井 孝行

 日本国内において、HIV感染者が1年間に新しく報告される人数は、昭和60年以降右肩上がりに増加し続けて、平成20年には1126人とピークに達し、以降は減少に転じていますが、平成23年においても1056人も報告され、前年(1075人)に次ぐ過去第4位の多さとなっています。

 一方、エイズ患者の同様の年間報告数は、過去一度も減少したことがなく増加し続けており、平成23年には473人にものぼって過去最多となっています。
 男女別にみると、HIV感染者、エイズ患者共に男性が全体のほぼ90%を占めています。年代別では、HIV感染者は20~30歳代の若者に多く、エイズ患者は特に30~40歳代の増加が続いており、深刻な社会問題となっています。
 また、昭和60年以降の国内における総HIV感染者数(凝固因子製剤による感染者を除く)は1万3704人(男性1万1564人、女性2140人)、総エイズ患者数は6272人(男性5604人、女性668人)にもおよんでいます。
 日本のみならず世界的にみても同じ状況下にあり、将来的にHIV感染者・エイズ患者が急増することが非常に心配されていました。

 そこで、昭和63年にWHO(世界保健機構)は、正しいエイズ予防知識を持つことによる世界中のエイズ感染拡大防止、また、HIV感染者やエイズ患者に対する差別・偏見をなくすことを目的に、国際記念日(国際デー)のひとつとして、毎年12月1日を「世界エイズデー」と定めました。

 この「世界エイズデー」には、世界中でさまざまな啓発イベントが行われ、世界中の国々にエイズに対する正しい知識の普及を呼びかけるとともに、今もなお世界中においてエイズで苦しんでいる人々に向けてのメッセージが送り続けられています。

 そして、日本全国各地においても、毎年12月1日近辺には、さまざまなシンポジウムや学会などが開催され、さらにすべての都道府県でも保健所等を中心として、HIV感染者やエイズ患者の早期発見・早期治療を目的にして、人権を配慮し匿名での無料HIV検査が、平日に検査を受けられない方のために、平日夜間の時間帯、土曜日や休日・祝日などに特別実施されています。