奈良県医師会 井村 龍麿
みなさん、日常でかゆみを感じることはよくあると思いますが、かゆみが強いと掻き過ぎてしまい傷になってしまうこともあります。
乾燥した皮膚はかゆみを生じやすくなります。加齢により皮膚の水分量は低下する傾向にあり、高齢者の方に皮膚の乾燥がよくみられます。また、秋から冬にかけての空気の乾燥も原因になります。
しっとりとした皮膚は角質層に十分な水分を含んでいます。その水分を含むために重要なのが①自然保湿因子、②皮脂、③角質細胞間脂質(セラミド)の3つの要素です。これらの要素は年齢とともに減少する傾向があり、高齢になると皮膚は乾燥しがちになります。
皮膚の表面がひび割れたり、粉をふいたような乾燥した皮膚はかゆみが生じやすく、掻くことによって炎症をおこしたり、湿疹ができやすくなります。つまり、ついつい掻いてしまうことがかゆみをさらに悪化させたり、湿疹を再発させてしまう等の悪循環を引き起こします。
この乾燥が原因のかゆみの悪循環を断ち切るには、皮膚にうるおいを与えて乾燥を抑えることが大切です。具体的な対策としては、まず入浴が大切です。熱過ぎないお湯で湯船にゆっくりつかりましょう。その際、入浴剤等も効果的です。しかし、ゴシゴシとこすりすぎることや刺激の強いナイロンタオルは禁物です。また、入浴後すぐの保湿剤はスキンケアとして大切です。たっぷり目に塗ることを心がけましょう。
また、室内の乾燥予防も大切なポイントです。特に湿度が下がる秋から冬の季節は、加湿器等で乾燥を防ぐとともに、エアコンやストーブをつけることによる室内の乾燥にも気を付けましょう。
これらの対策で日常の皮膚乾燥の原因を予防し、なめらかなしっとり肌を手に入れましょう。
また、かゆみが強く湿疹にまで至った際には適切な治療を受けることが大切です。