奈良県医師会 岩井 務
レストレスレッグス症候群は「むずむず脚症候群」あるいは「下肢静止不能症候群(かしせいしふのうしょうこうぐん)」とも呼ばれ、脚の表面ではなく、内部に不快な異常感覚が生じる神経疾患です。
その異常感覚は「むずむず」「虫が這(は)う」「ほてる」「炭酸が泡立つ」「ちりちりする」「骨がかゆい」「電流が流れている」「脚がでたらめに動く」など、さまざまな言葉に表され、患者さんにとって極めて不快なものであり、症状が起きた場合、患者さんは脚を叩いたり、寝返りを繰り返すことなどで不快感を軽くしようとします。重症になると、じっとしていることができず、居ても立ってもいられなくなり、歩き回らなければいけない状態になります。
日本では人口の2~5%の潜在患者さんがいると言われており、治療が必要な患者さんは200万人にのぼるというデータもあります。不眠症など他の病気だと気づかず苦しんでいる人もたくさんいると考えられ、男女比はおよそ1:1.5、40代以降の中高年に多く見られる病気です。
症状が出現するのは電車や飛行機に乗っている時や、美容院で髪を切ってもらっている時など、じっと動かないでいる時、動けないでいる時に現れます。また、夕方や夜に症状が現れやすいことも大きな特徴で、何かに熱中すると症状が弱まることもわかっています。
さらに、脚を叩いたり、足踏みしたり、歩き回るなど、「脚を動かす」ことで不快感が弱まるのも特徴です。夜眠っている間に脚に現れる症状により、自分でも気づかないうちに周期的に脚を動かしてしまい、そのたびに眠りが浅くなり、リラックスして眠ることができず、それが日中の疲れや眠気となって現れます。
生死に直結するような病気ではありませんが、じっとしていると症状が出るために長時間の移動や会議などが苦痛になったり、十分な睡眠がとれないことで疲れてしまい、家事や仕事に集中できなくなり、その結果大きなストレスを感じ、うつ状態になる人もいます。