奈良県医師会
熱中症は、暑い環境に長時間さらされることで体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体温の調整機能が適切に働かなくなる障害の総称です。熱中症になると、体内に熱がたまり、めまい、大量の発汗、吐き気、頭痛、筋肉痛、倦怠感などの症状が現れ、重症になると意識障害などが起こり、時には死に至ることもあります。
熱中症は「気温が高い」「日差しが強い」という時に発生すると思われがちですが、気温がそれほど高くない日でも「湿度が高い」「風が弱い」といった環境のほか、「体調が悪い」「体がまだ暑さに慣れていない」といった体調も影響します。
また、屋外で活動している時だけでなく、室内でも発生することがありますので注意が必要です。
熱中症は乳幼児から高齢者まで発症しますが、患者の約半数は65歳以上の高齢者となっており、熱中症が原因で死亡した人のおよそ8割が、同じく65歳以上の高齢者となっています。
熱中症の予防には、こまめに水分や塩分を補給することと暑さを避けることが大切です。特に高齢者は、暑さやのどの渇きに対する感覚が鈍くなっていますので、のどが渇いていなくてもこまめに水分や塩分を補給しましょう。
また衣服は通気性が良いものを着用し、外出する時は帽子や日傘を利用するほか、日陰でこまめに休憩することを心掛けましょう。
さらに室内では、エアコンや扇風機を使って適温に調整することも重要です。節電も重要ですが、気温や湿度の高い日には決して無理をせず、適度に扇風機やエアコンを使用しましょう。
もし、まわりの人で熱中症のような症状がある場合は、涼しい場所へ避難させ、衣類を脱がせて身体を冷やしてください。首や脇の下、太ももの付け根など、大きな血管が流れているところを氷や冷たい水で濡らしたタオルで冷やすと効果的です。さらに意識がはっきりしている時はスポーツドリンクで水分と塩分を補給してください。
また、意識がはっきりしないなど重症の場合は、速やかに救急隊を要請して医療機関に搬送する必要があります。
正しい知識を身につけ、自分の体調の変化に気をつけるとともに、まわりの人にも気を配りながら、熱中症を防ぎましょう。