成人男性の風疹が大流行

奈良県医師会 春日 宏友

 風疹の患者数がこの半年間で1万人を越えました。すでに昨年1年間の4倍以上の大流行になっています。7割以上が男性で、そのうちの8割以上が20~40歳代です。なぜ20~40歳代の男性に多発しているのでしょうか? 実はこの年代の男性のほとんどは風疹の予防接種を受けておられないのです。現在34歳以上の男性はまったく予防接種を受ける機会がなく、25歳から34歳までの方は中学時に1回受けることになっていましたが、個別接種だったため受けなかった人も多いのです。このことが、現在の成人男性の風疹流行につながっています。

 風疹の潜伏期(せんぷくき)は2~3週間で、主な症状は発熱、発疹(ほっしん)、リンパ節の腫(は)れです。発熱は38度前後、発疹は顔面に始まり、首・頭・体から手足に広がる細かい紅疹、リンパ節の腫れは耳の後ろ、首、後頭部などにみられ、痛みを伴うことがあります。これらの症状は3~4日で治るので「三日はしか」などとも呼ばれていますが、脳炎や髄膜炎(ずいまくえん)を合併して重症になることもあるため油断は出来ません。もともと子供の病気ですが、大人になってからかかると症状が重くなりやすく、仕事などにも支障をきたします。さらにやっかいな問題は、妊婦さん(特に妊娠初期の)が風疹にかかると、心臓の奇形や難聴(なんちょう)、白内障(はくないしょう)などを伴った先天性風疹症候群の赤ちゃんが生まれる可能性があることです。

 風疹は飛沫感染でうつりますので、手洗いの励行、マスクをつける、できるだけ人混みには出歩かない、などが予防に有効ですが、最も有効なものは予防接種です。特に先天性風疹症候群を減らすために、これから妊娠、出産を希望される方はもちろんのこと、妊婦さんに風疹をうつさないよう、配偶者の方もぜひお受けください。そしてワクチン不足の心配もありますが、できれば同居されているご家族も予防接種を受けていただいて、みんなで元気な赤ちゃんを産んでもらうためのサポートをしてあげてください。

 平成25年6月からは予防接種費用の助成制度も始まっています。詳しくはお住まいの市町村へお尋ねください。