線維筋痛症 その2

奈良県医師会 岩井 務

 線維筋痛症には明確な診断基準はありませんが、現段階では1990年に発表された米国リウマチ学会の分類基準を参考に診断が行われています。

  広範囲にわたる痛みが3ヵ月以上続いており、①頭の後ろ、②首の下、③背中の筋肉、④肩の筋肉、⑤あばら骨、⑥肘、⑦お尻、⑧太ももの付け根、⑨膝のそれぞれ左右あわせた18ヵ所を指で4㎏の力で押して、11ヵ所以上痛むことが条件となります。痛みが11ヵ所以上でなくとも専門医の判断で線維筋痛症と診断されることもあります。また、他の病気が併発していても線維筋痛症の診断は可能です。

 線維筋痛症については他の病気が併発していなければ血液、レントゲン、CT、MRI等の検査を行っても明確に診断できる検査はありません。線維筋痛症の治療には、運動を伴った多面的アプローチが推奨されています。それは患者さん個々に見合った適度な運動と薬物療法を組み合わせることで、治療効果を高めます。痛みが強い患者さんでは、薬物療法によって痛みを和らげ、運動が可能な状態をつくり、その後適度な運動によって筋肉の強化や規則的な日常の睡眠を確保し、線維筋痛症の症状を改善させます。

 また病気によって引き起こされた情緒障害を心理的方法(心理療法等)によってサポートし、患者さんの痛みを悪化させるストレスを軽減します。最近、日本国内で線維筋痛症に適応のある薬が承認され、痛みの軽減に効果がある薬として使われるようになっています。もし、上記のような繊維筋痛症と思われる症状がある場合は、かかりつけ医からリウマチ医、整形外科医、心療内科医を紹介してもらい受診することお勧めします。