奈良県医師会 竹田 洋祐
5歳までの幼児が、夜寝ている間におもらしすることを「おねしょ」といいます。これは成長の途中のもので病気ではありません。5歳をすぎても、1週間に何回もおねしょが続くものを「夜尿症」といい、これは診療の対象になることがあります。
おしっこをためる膀胱(ぼうこう)の大きさと、夜眠っている間につくられるおしっこの量とのバランスが悪いことが原因と考えられます。夜尿症は5歳児の20%、小学校高学年の5%にみられています。
おしっこの量は脳下垂体(のうかすいたい)よりの抗利尿(こうりにょう)ホルモンがコントロールしています。このホルモンの分泌(ぶんぴつ)は小学校へ入学するころには日中に少なく夜に多くなるという日内リズムができますので、夜間は尿量が少なくなり、トイレに行かなくてもよくなります。また抗利尿ホルモンは、ぐっすり眠るとよく出るとされています。
おねしょをする子どもには「起こさない」「焦らない」「怒らない」ことです。夜中に起こしてトイレに行かせるのは、眠るリズムを乱し、おしっこの量の調節や膀胱の働きを悪くするので、逆効果です。おねしょをしなかった朝はたくさんほめてあげましょう。 家庭では早寝早起きの規則正しい生活を心がけ、夕方から水分を控えて、寝る3時間前には夕食を終わらせること。これがポイントです。
おねしょ(夜尿症)はそのうち治る、とよくいわれます。確かに12歳を過ぎるころには、おねしょはなくなることが多いのですが、成人まで続くことがあります。わずか5%未満ですが、原因として別の治療を必要とする病気が隠れていることがあります。 一応、ハイティーンを目安として、おねしょが続いている場合は、かかりつけの医師に相談してみましょう。受診のときはどのくらいの頻度でおねしょがあったか、メモを持って行くとよいでしょう。