奈良県医師会 井村 龍麿
めまいにはいろいろな症状があります。グルグル回るようなめまい、フワフワするめまい、血の気が引くようにクラッとするめまい等感じる症状は違うものの、なかには動悸や吐き気、耳鳴り、頭痛などを伴うこともあり、つらさと不安からか、外来を受診されることが比較的多い症状のひとつです。
では、どうしてめまいが起こるのでしょうか?私たちの体において、バランス感覚や姿勢を保つために必要な働きは耳から脳への伝達と、目から脳への伝達で行っています。耳の中の前庭(ぜんてい)といわれる部分からの伝達に問題が起こる場合にはグルグル回るような末梢性(まっしょうせい)のめまいに、目から脳の小脳や脳幹(のうかん)への伝達に問題が起こる場合にはフワフワするような中枢性のめまいになりやすいようです。疲労やストレス、不摂生(ふせっせい)がめまいを引き起こすきっかけにもなり得ますので、日頃からかかりつけ医での診察、健康管理を受けられることや健康診断等によっての貧血や不整脈へのフォローをされることも必要です。
日常生活では十分な睡眠や規則正しい食事を心がけること、過度な飲酒や喫煙を控えることも大切です。また、めまいが出現した際にも、一概にめまいを引き起こす原因となる病気がすべて危険なものというわけではありませんので、まず安静を保つことや気持ちを落ち着かせることが大切です。
しかし、なかには脳梗塞(のうこうそく)や脳出血、脳腫瘍(のうしゅよう)等の危険な脳疾患や突発性難聴(とっぱつせいなんちょう)等の耳疾患、他にも不整脈等の危険な疾患が原因のこともあります。特に手足のしびれや麻痺(まひ)、激しい頭痛がある際には脳疾患を疑い、CT検査やMRI検査が可能な脳外科や神経内科への受診を、また耳の聞こえが悪くなる際には耳鼻科の受診を急ぐようにしましょう。