睡眠時無呼吸

奈良県医師会 井村 龍麿

 いびきや昼間の眠気、熟睡感がない等の症状がある方の中には睡眠時無呼吸が珍しくありません。圧倒的に男性が多く、健康な成人男性の2~4%、あるいはそれ以上の頻度ともいわれています。呼吸が止まって死ぬことはまずありませんが、生活習慣病とも密接に関係しており、十分な酸素が取り込めない事で心臓病や脳卒中が3~4倍増加するとも言われています。また、特有の眠気は交通事故を起こす危険もあり、注意が必要です。

 睡眠時無呼吸で圧倒的に多いタイプは閉塞型であり、気道の閉塞により呼吸ができない状態となります。原因としては気道が細い、あごが小さい、下あごが引っ込んでいる、扁桃腺(へんとうせん)や舌が大きいといった生来の形態的な特徴の他、肥満で脂肪がつくことで気道が狭くなることが挙げられます。
特に、一見して大柄で気道周りに脂肪がついていそうな肥満型の西洋人よりも、面長な東洋人のほうが頻度は高いようです。

 検査は簡単な方法であれば自宅で睡眠中に行うことも可能です。睡眠中の低酸素の状態や呼吸状態、いびき、脈拍等の変化をセンサーをつけて記録し、睡眠時無呼吸の診断や重症度を調べることができます。基本的には1泊の入院検査で脳波等も含めた詳細検査により診断をします。

 治療は軽度の方であれば睡眠時の姿勢やマウスピースの着用、飲酒に対する注意等で程度を軽くすることが可能ですが、一定以上の重度な方にはCPAP(シーパップ)が適応になります。これは寝るときに鼻にマスクをあて、強制的に加圧した空気を鼻から送り込むことで気道を広げ、呼吸が止まらないようにするものです。この機械を装着することで劇的な無呼吸の改善が得られ、睡眠の質向上がはかられます。CPAP導入時は、マスクの装着や強制的に送気されることへの慣れが必要になります。ご自身にあった治療法を専門の医療機関でご相談ください。