奈良県医師会 竹田 洋祐
細菌やウイルスによる感染性胃腸炎はほぼ1年を通してみられる病気ですが、冬場に流行する感染性胃腸炎の大半はノロウイルスやロタウイルスによるものです。
ノロウイルスは、カキ、しじみ、あさり、はまぐりといった二枚貝に潜んでいる可能性があります。毎年カキなどの旬である冬場から春先にかけて流行します。 ウイルスは病気にかかっている人の便や吐物から直接健康な人の口に侵入します。また人の手指を介しても感染します。
嘔吐・下痢便の処理には処理する人自身が感染しないように、手袋とマスク、エプロンを着用し、汚物が付着していた床とその周囲をペーパータオルで拭き取ったあと、0・1%塩素系消毒液を浸みこませたペーパータオルで浸すように拭きます。
感染しますと1~2日後に吐き気、嘔吐、下痢、発熱で発病します。赤ちゃんからお年寄りまで誰でも何度でもかかり、特効薬はありませんが、これらの症状は数日で治まります。大切なことは、嘔吐や下痢などが続いても十分に水分を補給して脱水症にならないようにすることです。
症状があるのに保育園、幼稚園、学校などに行くと、そこで感染が広がり、次に別の家庭にも広がってしまいますので、症状がおさまるまでは集団生活を避けるようにしましょう。感染予防には、お手洗いの後や食事の前に「流水と石けんによる手洗い」を徹底しましょう。
乳幼児や高齢者がかかった場合や、症状がひどいときは、早めにかかりつけの医師を受診してください。