新しいC型肝炎治療について

奈良県医師会 塚本 昇

 C型肝炎治療は日進月歩で進んでいます。以前はPEGインターフェロンとリバビリンという抗ウイルス薬の併用治療が主流でしたが、この治療に加えてC型肝炎遺伝子に直接作用するプロテアーゼインヒビターを加えた3剤治療が開発されました。
 しかし、最初に発売されたテラプレビルは、重症皮膚炎などの副作用が出現してしまい、使用が大変難しく使用例は多くありませんでした。次に発売されたシメプレビルは、副作用が大変少なく有効率も高く安全に臨床で使用されています。それでも、若干名の死亡例も報告され、慎重に治療を進める必要があります。また、新たにバニプレビルが発売され、C型肝炎治療に大いに役立つと考えられます。ただし、これらの治療は肝硬変やインターフェロンで副作用が出る方には適応出来ず大きな課題でした。

 昨年に複数のプロテアーゼインヒビターを組み合わせインターフェロンを使わない内服だけの治療が登場しました。この治療は、DAAs治療とよばれ画期的ですが弱点もあります。C型肝炎ウイルスは治療などの刺激で突然変異し、遺伝子が置き換わってしまう性質を持っています。この新薬はウイルスの特定した場所の遺伝子が変異していると有効率がとても低くなってしまいます。また、直接遺伝子に働きかける薬剤の宿命ですが、ウイルスが変異し耐性を獲得して排除できない場合は次の治療が困難になってしまうのです。しかし、変異の無い人へは有効率が高いのでウイルスの変異を調べて治療すれば大変有用な薬剤と考えられます。
 今後DAAs治療は開発が進み、次世代の薬剤ではほぼ100%の消失率をもつ薬剤も開発され、大変期待の持てる治療です。是非C型肝炎でお困りの方は肝臓専門医にご相談ください。