健康食品 ー正しい知識でおつきあいー

 奈良県医師会 竹田 洋祐

 近頃、健康食品やサプリメントの広告が毎日のように新聞紙上に大きく載っています。その製造販売元が一流有名企業の場合もあり、特定の成分を手軽に補給でき健康の保持増進に効果的であると宣伝しています。

 しかし健康食品やサプリメントは、健康に対し特別な効果を期待する健康補助あるいは栄養補助的な「食品」なのです。健康食品に法律上の定義は無く、広く健康の保持増進に資する食品として販売・利用されるもの全般を指します。決して医薬品の代わりではありません。過度な期待は禁物です。

 健康食品は病気が必ず治る、特定の病気を予防するなどの効果を示す表現は法律では認められていません。また表示以外の成分である添加物の有無の記載はなく、有効成分の科学的な効果の裏付けも一切なされていません。と、いうことで健康食品は薬の代わりではありませんから、再度、過度な期待は禁物であることを強調したいと思います。

 医師から処方される薬とは違い、健康食品はドラッグストア、通信販売など身近な生活環境から購入できます。特定の成分が錠剤やカプセルのかたちで手軽に補給できるとか、あるいは薬をのむ、のまないを自ら判断できたり、疲れを早く回復させたいと考え利用される人もおられます。疲れ感が長引く場合は、漫然と健康食品を続けることなく、手遅れにならないうちに診療を受けましょう。

 一方で、健康被害も報告されています。健康食品の限界を知って正しい知識を身につけていただきたいと思います。

 医師が処方する薬と健康食品の成分の相性が悪い場合もあります。また思わぬ体調不良の原因が健康食品だったということもありえます。健康食品を利用されている人は、医師にかかった時に、必ずその商品名などをきちんと伝えてください。

 健康な日々を過ごすためには、基本的には十分な睡眠や栄養バランスのよい3度の食事など、規則正しい生活が欠かせません。
 何か気になる症状があれば、気軽にかかりつけ医に相談してください。