「神経障害性疼痛(しんけいしょうがいせいとうつう)」その2

奈良県医師会 岩井 務

 神経障害性疼痛の治療は薬物療法・神経ブロック・手術療法があります。

 痛みの治療を行う際に、最も一般的に実施される治療は「薬物療法」です。薬物療法に用いる主な薬剤には、神経障害性疼痛治療薬、非ステロイド性消炎鎮痛剤、オピオイド、ステロイド、鎮痛補助薬、麻酔薬などがあります。

 神経障害性疼痛治療薬とは、痛みを伝える物質の過剰放出を抑えることで痛みをやわらげるお薬です。副作用には、眠気やめまいがありますが、うまく導入すれば、あまり感じることはありません。数年前より保険適応となっています。

 非ステロイド性消炎鎮鎮痛剤とは、ステロイド以外の抗炎症作用、鎮痛作用、解熱作用を有する薬剤の総称です。いわゆる「痛み止め」あるいは「解熱鎮痛剤」としてさまざまな痛みに対して、処方されています。この薬剤は、痛みの原因となる物質の生成を抑えることで痛みを鎮めます。副作用としては胃腸障害などが知られていますが、副作用を軽減したタイプのものも開発され、普及しています。

 オピオイドは、脊髄と脳にあるオピオイド受容体と呼ばれる部位に結合して、脊髄から脳への痛みの伝達を遮断して、鎮痛効果を示します。基本的には、がん性疼痛に保険適応が認められています。副作用は吐き気、便秘、眠気があります。また連用により薬物依存を起こしやすいため、観察を行い、慎重に必要とされおりまた、処方には特別な免許が必要です。

 「神経ブロック療法」とは、神経や神経周辺に局所麻酔薬を注射して、痛みをなくす方法です。麻酔薬が神経に作用し、痛み刺激が神経を伝わるのを遮断することで、痛みを取り除きます。 神経ブロック療法には「星状神経節ブロック」「硬膜外ブロック」などがあります。

 薬物療法や神経ブロック療法で症状の改善が見込めない場合に、手術療法が選択される時もあります。

 このように神経障害性疼痛は症状の強度・種類、画像診断による病変の有無によって治療法が違ってきます。かかりつけ医と相談し必要であれば整形外科医、脳神経外科医、心療内科医、ペインクリニック医など紹介してもらい受診してください。